2020年04月28日
東京地検あて申入書
東京謄写センターからの回答を踏まえて、4月22日付で東京地検あてに以下の申入れを行いました。
私は、東京都内の法律事務所に所属して刑事弁護を担う弁護士有志を代表して、次の通り申し入れます。
1 「東京謄写センター」が次の方法を取るために必要な方策を速やかに講じる。
⑴ 謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付ける。
⑵ 謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け 付ける。
⑶ 上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する。
2 紙媒体だけではなく、電子データによる謄写を可能にするシステムを構築する。
(理由)
1 これまでの経緯―東京謄写センターに対する申入れ
本年4月7日、安倍晋三内閣総理大臣は東京を初めとする7都府県に対し緊急事態宣言を発令し、7都府県の知事は住民に対し不要不急の外出や移動を控えることを要請しました。この要請にしたがって、弁護士会や多くの法律事務所は、職員の在宅勤務体制を実現しています。職員や関係者のウイルス感染を防ぎ、その生命と健康を守るためには、すべての事業者がこうした努力をすべきです。
そこで、私たち弁護士有志は、2020年4月11日、貴庁内で、検察官開示証拠及び確定記録等の謄写事業を行っている「東京謄写センター」に対し次の措置を速やかに講じるよう申し入れました(参考に、申入書を添付します)。
⑴ 謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付ける。
⑵ 謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け 付ける。
⑶ 上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する。
⑷ 紙媒体だけではなく、電子データによる謄写を可能にするシステムの構築を検討する。
これに対し、東京謄写センター代表新井文男氏から、要旨、口頭で次の回答がありました。
⑴ 申入事項1(電話、FAX、メール等による謄写申請)について、当センターは東京地検・東京高検からの委託に基づいて謄写業務を請け負っているに過ぎない。庁舎内窓口での受付以外の方法で謄写申請を受け付けるかどうかは検察庁の判断なので、そちらに申し入れてほしい。
⑵ 申入事項2(費用の銀行振込等)及び同3(郵送による謄写物の交付)については、現在の人員では対応不可能である。現在職員は代表を含め7人しかいない。そのうち5名は謄写作業に専従している。非常事態宣言後も連日7人がフル稼働している。弁護士やその職員の皆さんのご負担を極力軽減したいと考えて、東京23区以外の事務所からの要請がある場合は、現金書留による支払いと郵送による謄写物の送付を行うようにした。また、立川支部の弁護士のために、当センターの職員が謄写物を立川まで運ぶサービスも開始した。しかし、現在の陣容ではこれ以上のサービスは残念ながら不可能である。サービス向上のために謄写料金を改定することも検討すべきと思うが、謄写料金の値上げについては検察庁の了解が得られない。また、値上げについて弁護士さんらの了解が簡単に得られるとも思えない。
⑶ 申入事項4(電子データによる謄写物の交付)についても、原本が電子データでないものについて、紙媒体以外の方法での謄写を行うことは検察庁から禁じられているので、当センターとして対応することはできない。
回答によれば、東京謄写センターとしても、弁護士や事務所職員、さらには東京謄写センターの負担を軽減するために、郵便などを利用して業務を効率化、円滑化したいと考えているものの、彼らは貴庁から業務委託を受けているに過ぎず、自分たちの判断では何もできないことが分かりました。
2 現在の運用によって生じる新型コロナウイルス感染の危険
現在、貴庁及び東京謄写センターは、東京都23区に事務所を構える弁護士らからの郵送による謄写申請・受取を受け付けていません。そのため、私たち弁護士が依頼人のためにその職務を行うためには、貴庁の庁舎に出向き、貴庁の窓口等で検察官開示証拠等の謄写を申請し、謄写が終わった後、再度東京謄写センターの窓口に赴いて費用を支払い、その上で、謄写した記録を受け取らなければなりません。そのために、公共交通機関を乗り継ぎ、貴庁の窓口等に出向き、費用を支払い、記録を持ち帰らなければなりません。そのたびに私たちは外出を余儀なくされ、感染の危険を負わされています。また、貴庁及び東京謄写センターの職員は、謄写申請や受け取りのたびに、多数人と窓口で対応しなければなりません。同センターの職員らもまた、感染の危険にさらされています。
3 各申入事項について
そこで、先に述べた通り、貴庁が、謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付けるとともに、東京謄写センターが、謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け付け、さらに、上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する方法が可能になるよう、貴庁において速やかに方策を講じられるよう求めます(申入事項1)。
申入事項2(電子データによる謄写物の交付)は、東京謄写センターの業務の効率化、大幅な負担の軽減につながるのみならず、迅速な証拠開示と公判準備にも資するものです。ご承知の通り、稲田伸夫検事総長は、証拠書類そのものをデータにすることにより、検察官の業務を効率化するのみならず、証拠開示が簡略化され、謄写や閲覧の負担を大きく減らすことができると述べておられます(稲田伸夫「検察とこれからの時代」(研修第859号2頁(2020年1月)3-4頁)。
4 今後の協議について
新型コロナウイルス感染症の拡大は衰えるどころか、世界中で感染者、死者数が増加する一方であり、いまだ収束の兆しがありません。人命を守るため、そして医療体制の崩壊を防ぐために、国民一人一人が、外出をできるだけ控え、人との接触を避けようと懸命に知恵を絞り、多大な犠牲を払いながら努力しているところです。
法曹もまた、共に知恵を絞り、これまでの実務を柔軟に変えていくことが求められています。申入れ事項について、前向きに検討いただくよう、お願いいたします。本件について、協議の機会を設けていただきたく、貴庁において謄写業務を担当している方より私宛にご連絡いただくよう、合わせてお願い申し上げます。
【付記】
東京地検は、2020年6月8日付で、在京三弁護士会あてに「郵送またはファクシミリによる申請を受付ける」という回答をしました。
メールなどによる謄写申請、謄写物の郵送、電子データによる開示などについては、特に応答はありません。検討状況についても不明です。(2020年6月9日)
申 入 書
私は、東京都内の法律事務所に所属して刑事弁護を担う弁護士有志を代表して、次の通り申し入れます。
記
1 「東京謄写センター」が次の方法を取るために必要な方策を速やかに講じる。
⑴ 謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付ける。
⑵ 謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け 付ける。
⑶ 上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する。
2 紙媒体だけではなく、電子データによる謄写を可能にするシステムを構築する。
(理由)
1 これまでの経緯―東京謄写センターに対する申入れ
本年4月7日、安倍晋三内閣総理大臣は東京を初めとする7都府県に対し緊急事態宣言を発令し、7都府県の知事は住民に対し不要不急の外出や移動を控えることを要請しました。この要請にしたがって、弁護士会や多くの法律事務所は、職員の在宅勤務体制を実現しています。職員や関係者のウイルス感染を防ぎ、その生命と健康を守るためには、すべての事業者がこうした努力をすべきです。
そこで、私たち弁護士有志は、2020年4月11日、貴庁内で、検察官開示証拠及び確定記録等の謄写事業を行っている「東京謄写センター」に対し次の措置を速やかに講じるよう申し入れました(参考に、申入書を添付します)。
⑴ 謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付ける。
⑵ 謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け 付ける。
⑶ 上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する。
⑷ 紙媒体だけではなく、電子データによる謄写を可能にするシステムの構築を検討する。
これに対し、東京謄写センター代表新井文男氏から、要旨、口頭で次の回答がありました。
⑴ 申入事項1(電話、FAX、メール等による謄写申請)について、当センターは東京地検・東京高検からの委託に基づいて謄写業務を請け負っているに過ぎない。庁舎内窓口での受付以外の方法で謄写申請を受け付けるかどうかは検察庁の判断なので、そちらに申し入れてほしい。
⑵ 申入事項2(費用の銀行振込等)及び同3(郵送による謄写物の交付)については、現在の人員では対応不可能である。現在職員は代表を含め7人しかいない。そのうち5名は謄写作業に専従している。非常事態宣言後も連日7人がフル稼働している。弁護士やその職員の皆さんのご負担を極力軽減したいと考えて、東京23区以外の事務所からの要請がある場合は、現金書留による支払いと郵送による謄写物の送付を行うようにした。また、立川支部の弁護士のために、当センターの職員が謄写物を立川まで運ぶサービスも開始した。しかし、現在の陣容ではこれ以上のサービスは残念ながら不可能である。サービス向上のために謄写料金を改定することも検討すべきと思うが、謄写料金の値上げについては検察庁の了解が得られない。また、値上げについて弁護士さんらの了解が簡単に得られるとも思えない。
⑶ 申入事項4(電子データによる謄写物の交付)についても、原本が電子データでないものについて、紙媒体以外の方法での謄写を行うことは検察庁から禁じられているので、当センターとして対応することはできない。
回答によれば、東京謄写センターとしても、弁護士や事務所職員、さらには東京謄写センターの負担を軽減するために、郵便などを利用して業務を効率化、円滑化したいと考えているものの、彼らは貴庁から業務委託を受けているに過ぎず、自分たちの判断では何もできないことが分かりました。
2 現在の運用によって生じる新型コロナウイルス感染の危険
現在、貴庁及び東京謄写センターは、東京都23区に事務所を構える弁護士らからの郵送による謄写申請・受取を受け付けていません。そのため、私たち弁護士が依頼人のためにその職務を行うためには、貴庁の庁舎に出向き、貴庁の窓口等で検察官開示証拠等の謄写を申請し、謄写が終わった後、再度東京謄写センターの窓口に赴いて費用を支払い、その上で、謄写した記録を受け取らなければなりません。そのために、公共交通機関を乗り継ぎ、貴庁の窓口等に出向き、費用を支払い、記録を持ち帰らなければなりません。そのたびに私たちは外出を余儀なくされ、感染の危険を負わされています。また、貴庁及び東京謄写センターの職員は、謄写申請や受け取りのたびに、多数人と窓口で対応しなければなりません。同センターの職員らもまた、感染の危険にさらされています。
3 各申入事項について
そこで、先に述べた通り、貴庁が、謄写申請については、窓口だけではなく、電話や郵送、ファックス、Eメールで受け付けるとともに、東京謄写センターが、謄写費用の支払いについて、銀行振り込みや電子納付による支払いを受け付け、さらに、上記支払い(入金)を確認後、申請者の希望に応じて、郵送により謄写記録を交付する方法が可能になるよう、貴庁において速やかに方策を講じられるよう求めます(申入事項1)。
申入事項2(電子データによる謄写物の交付)は、東京謄写センターの業務の効率化、大幅な負担の軽減につながるのみならず、迅速な証拠開示と公判準備にも資するものです。ご承知の通り、稲田伸夫検事総長は、証拠書類そのものをデータにすることにより、検察官の業務を効率化するのみならず、証拠開示が簡略化され、謄写や閲覧の負担を大きく減らすことができると述べておられます(稲田伸夫「検察とこれからの時代」(研修第859号2頁(2020年1月)3-4頁)。
4 今後の協議について
新型コロナウイルス感染症の拡大は衰えるどころか、世界中で感染者、死者数が増加する一方であり、いまだ収束の兆しがありません。人命を守るため、そして医療体制の崩壊を防ぐために、国民一人一人が、外出をできるだけ控え、人との接触を避けようと懸命に知恵を絞り、多大な犠牲を払いながら努力しているところです。
法曹もまた、共に知恵を絞り、これまでの実務を柔軟に変えていくことが求められています。申入れ事項について、前向きに検討いただくよう、お願いいたします。本件について、協議の機会を設けていただきたく、貴庁において謄写業務を担当している方より私宛にご連絡いただくよう、合わせてお願い申し上げます。
以上
【付記】
東京地検は、2020年6月8日付で、在京三弁護士会あてに「郵送またはファクシミリによる申請を受付ける」という回答をしました。
メールなどによる謄写申請、謄写物の郵送、電子データによる開示などについては、特に応答はありません。検討状況についても不明です。(2020年6月9日)