2011年06月10日
みくだりはん
【三行半・三下半】江戸時代、簡略に三行半で書いたからいう、夫から妻に出す離縁状の俗称。(広辞苑第3版)
最高裁から薄い封筒が届いた。
「ああ、やっぱりね。ちょうど2週間じゃねえか。予想通りだ!」
と嘯いてみたものの、胸の奥の方で小さな筋肉が収縮するのを感じる。顔の表面がざわざわする。
確かにこれは今まで何百回も繰り返してきたことである。しかし、毎回毎回何がしかの期待を抱き、ダメに違いないと思い、けれど、「もしかして」と期待する。そして、結局ダメなのだ。
クリニックの学生と一緒に何日もかけて調査をし、議論を重ねて、睡眠時間を削って、精魂込めて書いた特別抗告申立書に対する最高裁判所第1小法廷の返事は、ワン・センテンスであった。
「……所論引用の判例は事案を異にするもので本件に適切でなく、憲法違反の主張は、実質は単なる法令違反の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。」
原決定は、刑訴法89条1号と4号は合憲であると判断した。そして、われわれはこれらの条文の立法の経緯を詳しく調べ、その立法目的からしてとうてい憲法が容認しうるような自由制限規定ではなく、憲法34条に違反すると主張した。イギリスの類似の規定を人権条約違反としたヨーロッパ人権裁判所の判例も引用した。同じ文言の自由権規約9条3項に違反するとも主張した。どうしてこれが「単なる法令違反の主張」なんだろうか。
毎度のことながら最高裁の三行半決定には心の底から怒りを覚える。この怒りは何に対してなんだろうか。最高裁判事の知的不正直に対して。彼らの「自由」というものへの不感症ぶりに対して。彼らの税金の無駄遣いに対して。彼らの無能に対して。
アメリカ連邦最高裁の9人の老人は、1人の浮浪者が刑務所の図書館で鉛筆で便箋3枚に書いた申立てに答えるようにと、フロリダ州知事に督促し、浮浪者のためにニュー・ヨークの著名な弁護士を国選弁護人に選任して口頭弁論を開いた。そして、40ページの憲法解釈論を書いて、刑事司法の歴史を作った。
日本の最高裁の老人たちは、私とロースクールの学生が何日もかけてパソコンで書いた23頁の申立てに対して、まるで暑中見舞いに対する返事のように、三行半の一文を送ってきた。
これでは才能のある人が刑事弁護から去ってしまい、変わり者か閑人だけしかこの業界に残らなくなってしまうだろう。
もう20年以上こんなことをやってきたが、あと何年やれるんだろうか。
【2005年10月5日記】
最高裁から薄い封筒が届いた。
「ああ、やっぱりね。ちょうど2週間じゃねえか。予想通りだ!」
と嘯いてみたものの、胸の奥の方で小さな筋肉が収縮するのを感じる。顔の表面がざわざわする。
確かにこれは今まで何百回も繰り返してきたことである。しかし、毎回毎回何がしかの期待を抱き、ダメに違いないと思い、けれど、「もしかして」と期待する。そして、結局ダメなのだ。
クリニックの学生と一緒に何日もかけて調査をし、議論を重ねて、睡眠時間を削って、精魂込めて書いた特別抗告申立書に対する最高裁判所第1小法廷の返事は、ワン・センテンスであった。
「……所論引用の判例は事案を異にするもので本件に適切でなく、憲法違反の主張は、実質は単なる法令違反の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。」
原決定は、刑訴法89条1号と4号は合憲であると判断した。そして、われわれはこれらの条文の立法の経緯を詳しく調べ、その立法目的からしてとうてい憲法が容認しうるような自由制限規定ではなく、憲法34条に違反すると主張した。イギリスの類似の規定を人権条約違反としたヨーロッパ人権裁判所の判例も引用した。同じ文言の自由権規約9条3項に違反するとも主張した。どうしてこれが「単なる法令違反の主張」なんだろうか。
毎度のことながら最高裁の三行半決定には心の底から怒りを覚える。この怒りは何に対してなんだろうか。最高裁判事の知的不正直に対して。彼らの「自由」というものへの不感症ぶりに対して。彼らの税金の無駄遣いに対して。彼らの無能に対して。
アメリカ連邦最高裁の9人の老人は、1人の浮浪者が刑務所の図書館で鉛筆で便箋3枚に書いた申立てに答えるようにと、フロリダ州知事に督促し、浮浪者のためにニュー・ヨークの著名な弁護士を国選弁護人に選任して口頭弁論を開いた。そして、40ページの憲法解釈論を書いて、刑事司法の歴史を作った。
日本の最高裁の老人たちは、私とロースクールの学生が何日もかけてパソコンで書いた23頁の申立てに対して、まるで暑中見舞いに対する返事のように、三行半の一文を送ってきた。
これでは才能のある人が刑事弁護から去ってしまい、変わり者か閑人だけしかこの業界に残らなくなってしまうだろう。
もう20年以上こんなことをやってきたが、あと何年やれるんだろうか。
【2005年10月5日記】
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コメント一覧
1. Posted by きのした 2011年06月14日 11:24
江戸時代
不義密通は大罪であった。
夫のある女性が,他の男性と交際するなど,もってのほか。
三行半とは,離婚証明書。
私は,この女と離婚しました。
男性と交際してもOKです。
不義密通ではありません。
女性を解放するための書面だった。
という説があります。
なるほどなと思いました。
三行半は,本来は,文字を連ねて書くのですが
棒3本と半分でも離婚ができた。
と言われています。
三行半を一方的離婚通知と見る立場からは
何と,乱暴な!
となるのでしょうが
離婚証明書と見る立場からは
学が無く文盲の人でも作成できる
便利な証明方法ということも可能だと・・・
見方によって変わるものですね。
本文の趣旨と無関係で失礼しました。
不義密通は大罪であった。
夫のある女性が,他の男性と交際するなど,もってのほか。
三行半とは,離婚証明書。
私は,この女と離婚しました。
男性と交際してもOKです。
不義密通ではありません。
女性を解放するための書面だった。
という説があります。
なるほどなと思いました。
三行半は,本来は,文字を連ねて書くのですが
棒3本と半分でも離婚ができた。
と言われています。
三行半を一方的離婚通知と見る立場からは
何と,乱暴な!
となるのでしょうが
離婚証明書と見る立場からは
学が無く文盲の人でも作成できる
便利な証明方法ということも可能だと・・・
見方によって変わるものですね。
本文の趣旨と無関係で失礼しました。
2. Posted by ishimura 2011年06月21日 22:33
今度は,35行,いや,350行くらい,書いてもらいましょう!
個人的には,東京高裁の特定の老人にはがっかりしましたが,(最近の)日本の最高裁の老人たちには、まだ期待しています。
個人的には,東京高裁の特定の老人にはがっかりしましたが,(最近の)日本の最高裁の老人たちには、まだ期待しています。
3. Posted by T_Ohtaguro 2011年06月24日 23:53
「法令違反」とは、
上告、並びに、抗告を退ける決定に対する特別抗告に於いては、民事訴訟法 第三百六条違反など
〔第一審の判決の手続が法律に違反したにもかかわらず、控訴裁判所が第一審判決を取り消さない違反〕、
特別上告に於いては、第三百二十五条1項違反など
〔第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるにもかかわらず、上告裁判所が原判決を破棄しない違反〕、
抗告を許可しない決定に対する特別抗告に於いては、第三百三十七条2項違反など
〔最高裁判所の判例などと相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合に該当するにもかかわらず、抗告を許可しない違反〕、
再審に於いては、第三百四十六条1項違反など
〔再審の事由があるにもかかわらず、再審開始の決定をしない違反〕。
これらは、下級裁判所の裁判官の不法行為であって、憲法 第十七条所定の「公務員の不法行為」に該当する。
さらに、この違反行為を構成する事実については、訴訟記録により確認することができることから、故意が認められる。
法令違反を主張するものの実質は、
裁判所の職務権限を濫用することにより、訴権・請求権の行使を妨害する公務員職権濫用、
違法ある前審の裁判を取消さず、又は、破棄しない目的で、虚偽の有印公文書〔判決書・決定書・命令書など〕を作成する虚偽有印公文書作成など
を主張するものである。
最高裁判所は、「法令違反を主張するもの」には「下級裁判所の犯罪行為について主張するもの」が含まれているにもかかわらず、
裁判官の刑事責任などを不法に免除する目的で、故意に、判断の遺脱ある決定をし、調書を作成しているのであるかから、虚偽有印公文書作成などの罪の構成要件に該当するものと思料する。
上告、並びに、抗告を退ける決定に対する特別抗告に於いては、民事訴訟法 第三百六条違反など
〔第一審の判決の手続が法律に違反したにもかかわらず、控訴裁判所が第一審判決を取り消さない違反〕、
特別上告に於いては、第三百二十五条1項違反など
〔第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるにもかかわらず、上告裁判所が原判決を破棄しない違反〕、
抗告を許可しない決定に対する特別抗告に於いては、第三百三十七条2項違反など
〔最高裁判所の判例などと相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合に該当するにもかかわらず、抗告を許可しない違反〕、
再審に於いては、第三百四十六条1項違反など
〔再審の事由があるにもかかわらず、再審開始の決定をしない違反〕。
これらは、下級裁判所の裁判官の不法行為であって、憲法 第十七条所定の「公務員の不法行為」に該当する。
さらに、この違反行為を構成する事実については、訴訟記録により確認することができることから、故意が認められる。
法令違反を主張するものの実質は、
裁判所の職務権限を濫用することにより、訴権・請求権の行使を妨害する公務員職権濫用、
違法ある前審の裁判を取消さず、又は、破棄しない目的で、虚偽の有印公文書〔判決書・決定書・命令書など〕を作成する虚偽有印公文書作成など
を主張するものである。
最高裁判所は、「法令違反を主張するもの」には「下級裁判所の犯罪行為について主張するもの」が含まれているにもかかわらず、
裁判官の刑事責任などを不法に免除する目的で、故意に、判断の遺脱ある決定をし、調書を作成しているのであるかから、虚偽有印公文書作成などの罪の構成要件に該当するものと思料する。
4. Posted by あいざわかずみ 2011年07月21日 22:30
高野先生、ご無沙汰しております。なんだか最近世の中の潮流がやっと少し変わってきたように思います。裁判所も含めて。今日もゴビンダの件に関するニュースがありました。あと何年でも先生が続けられる限り無理のない範囲でがんばってください!私も私のできることをやっていきますから(笑)。暑さが続きますがお体ご自愛ください。
5. Posted by 高野隆 2011年07月29日 00:08
あいざわさん、
励ましの言葉ありがとうございます。もう少し、がんばります。他に能がないですから。
励ましの言葉ありがとうございます。もう少し、がんばります。他に能がないですから。
6. Posted by ふるたか 2011年10月26日 15:53
2005年、私は本人訴訟で特別抗告し
その決定文を読み、結論のみで、
因果関係など事実関係を一切
記載しない3行ほどの内容(棄却)に
驚いた一人です。
一市民にもわかる完結で良いので、
結論に至る事実関係を明記した
判決(決定)を今後求めたい、
とする意見開陳(意見書等)を
当該裁判官に出したいので、
その旨第3小法廷書記官(西沢首席
書記官等)に伝えました。
その結果意見書等の提起は
是とし、
当該裁判体に届けることを
約束してくれました。
しかし、その後1年を経り、文書の処遇を質していますが
、責任者は電話にでようとせず、
部下の伝言(何時連絡可能かなど)を
お願いするが、
理由も述べず、拒否されるなど、
非常識かつ不可解な
言動に終始しています。これらから、
提起文書のもみ消しが
あるのではなど、
一国民として憤りを
覚えています。これらの件で
何か助言をいただければと
メールしました。
以上よろしくお願いします。
古高正一
その決定文を読み、結論のみで、
因果関係など事実関係を一切
記載しない3行ほどの内容(棄却)に
驚いた一人です。
一市民にもわかる完結で良いので、
結論に至る事実関係を明記した
判決(決定)を今後求めたい、
とする意見開陳(意見書等)を
当該裁判官に出したいので、
その旨第3小法廷書記官(西沢首席
書記官等)に伝えました。
その結果意見書等の提起は
是とし、
当該裁判体に届けることを
約束してくれました。
しかし、その後1年を経り、文書の処遇を質していますが
、責任者は電話にでようとせず、
部下の伝言(何時連絡可能かなど)を
お願いするが、
理由も述べず、拒否されるなど、
非常識かつ不可解な
言動に終始しています。これらから、
提起文書のもみ消しが
あるのではなど、
一国民として憤りを
覚えています。これらの件で
何か助言をいただければと
メールしました。
以上よろしくお願いします。
古高正一
7. Posted by ふるたか 2011年10月26日 15:55
高野隆さま
先ほど送りましたメールで
2005年本人訴訟・・
とした部分は、
2010年の間違いですので
よろしくおねがいします。
ふるたか。
先ほど送りましたメールで
2005年本人訴訟・・
とした部分は、
2010年の間違いですので
よろしくおねがいします。
ふるたか。