2007年03月02日

刑事手続に関するアメリカの憲法判例

刑事手続に関するアメリカの憲法判例集
【最終更新日 2007年3月1日】
取調べと自白
エスコビード対イリノイ(1964年)
――弁護人との面会を拒否して獲得された自白を被告人に不利益な証拠として採用することは弁護権を保障した合衆国憲法第6修正に違反する。

ミランダ対アリゾナ(1966年)――身柄拘束下の取調べにおいて、被疑者は取調べを拒否しあるいは弁護人立会いのうえで供述する権利があるのであって、これらの権利を告知せずに取調べることは黙秘権を保障した合衆国憲法第5修正に違反する。

ミニック対ミシシッピ(1990年)――身柄拘束下の取調べにおいて、被疑者が弁護人を要請したならば取り調べは停止されなければならず、その後は、被疑者が彼の弁護人と相談したか否かにかかわらず、弁護人の在席なしに捜査官は取り調べを再聞することはできない。

ステファン対州(1985年アラスカ州最高裁判所)――身柄拘束下の取調べは可能な限り全てテープに記録しなければならないとの規則は、アラスカ州憲法のデュープロセス条項の要請であり、この規則に違反して得られた自白は証拠から排除されなければならない。

弁護権
パウエル対アラバマ(1932年)――死刑事件において、被告人が自ら弁護人を依頼することが出来ない場合には、要求があるかどうかにかかわらず、州政府は彼のために弁護人を任命することが第14修正の法の正当な過程(due process of law)の要求であり、かつ、その任命は、被告人が公判において効果的な援助を実質的に受けることができるような仕方でなされなければならない。


ギデオン対ウェインライト(1963年)――弁護人の援助を受ける権利を保障する第6修正は第14修正を通じて州政府にも適用されるのであり、重罪事件において、自ら弁護人を依頼することができない被告人に対して、州政府は弁護人を任命する義務を負う。


対決権
バーバー対ページ(1968年)
――政府は証人の出廷確保のために善意の努力をしなければならず、証人が法域の外にいるというだけでは「召喚不能」とは言えず、その者の従前の証言を採用することは憲法が保障する対決権を侵害する。


コイ対アイオワ(1988年)
――被害者証人を保護するために遮へい措置をとることは、その個別具体的な必要性が認められないかぎり、対決権を保障した憲法に違反する。


クロフォード対ワシントン(2004年)
――公判に出廷しない者の証言的伝聞供述(testimonial hearsay)は、たとえその者が召喚不能であっても、供述当時に被告人に反対尋問の機会が与えられていたのでない限り、これを証拠として許容することは対決権を保証した合衆国憲法第6修正に違反する。

証拠法
ドーバート対メレル・ダウ薬品会社(1993年)
――科学的証拠の許容性の基準



plltakano at 00:43コメント(2)トラックバック(0)アメリカの刑事司法 | 憲法的刑事手続  このエントリーをはてなブックマークに追加

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コメント一覧

1. Posted by きのしたのぶゆき   2016年10月10日 22:54
ボクは、「ダーティーハリー」というアクション映画で、被疑者の人権がとても強く守られていることに感動を覚えました。
これが1971年制作かと思うと、2016年の日本は原始時代ですね。

http://blogs.yahoo.co.jp/kokusen18_21/64854855.html
2. Posted by 高野隆   2016年10月11日 06:56
きのしたさん
コメントありがとうございます。原始時代ならまだ希望があると思います。これから歴史を作ればいいわけですから。

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